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目覚め3。

 見る角度によって色を変え、左右対称であるがために翼のように見えなくもない、可視化した魔力による立体紋様。紋様の大きさと複雑さが精霊としての位を、色が属性を表すと言われる精霊の羽において、精霊王のみが羽のあまりの立派さゆえに翼という名称を冠する。ヴァンの背に浮かぶそれは…十分、精霊王の翼と呼ぶに相応しい大きさと精巧さを兼ね備えていた。ただ色だけが…見る角度によって複雑に色を変え、定まらない。

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目覚め2。

「なーなー、アンタの契約印、見せてくれよ」
 「良いのか?」と、オレはヴァンに視線で問う。ヴァンは、頷いた。
「……分かった」
 どうせ着替えるつもりだった事もあって、上半身の服を脱ぐ。二人に背を見せると、
「おぉ~っ! すっげー!!」
 多分目をキラキラと輝かせているだろうリックの声と、
「…拡大している?」
 すごく訝し気なヴァンの声が聞こえた。
 って…拡大している?
「拡大?」
「ああ、昨日見たのとは明らかに違う」
「……オレも見せてもらって良い?」
 ヴァンの背の契約印は、確かに昨日見たものより拡大し、紋様も複雑化していた。
 そこから読んだ情報が信じられなくて、オレは顔をしかめた。
「どうしたんだ? 怖い顔して……」
 リックの声が、耳を素通りしている。
 頼む…冗談であってくれ。思いながらオレは手を伸ばし、ヴァンの印にそっと触れて…、そこから魔力を引き出した。
「っ!!」
 周りの魔力が少しばかり持ってかれる感覚と共にヴァンの印から姿を現したものを見て、リックの興奮は最高潮に達した。
「精霊王の翼!!? ヴァンって精霊王だったんだ!?」
「は? 何をバカな事を言…って……」
 リックに突っ込みを入れようと振り返ったヴァンは、驚愕に目を見開いた。
「何だこれ!?」

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目覚め1。

 人の気配。話し声。
 意識がゆっくりと浮上する。
 どこだ? ここは。温かくて柔らかくて…まるでベッドの中のように……。
 薄く目を開けると、少年が二人、いる。
「――!!」
 一気に目が覚めた。そうだ、オレは昨日、使い魔として契約を……。
 ここはベッドの中の「ような」場所じゃない。本当に、ベッドの中なんだ。
「おはよう、アデル。ちょっとは落ち着いたか?」
 少年の片方、オレの契約主ヴァンが、オレの顔を覗き込む。
「…ヴァン」
「できればこの休みの間に、あんたの復学手続きと買い物を済ませたいからな。起きれそうなら、着替えてくれるか」
 買い物、は分かるが…
「復学手続き…?」
「通いたいだろ? ティアセル先生に頼めば、何とかしてくれるかもしれない」
 ティアセル先生…ああ、ラルフの事か。未だにしっくりこない。あのラルフが先生になった事が。
 オレの沈黙を誤解したのか、ヴァンは言葉を継いだ。
「先生が拒否ったら、脅してでもな。約束したじゃねーか。人間らしい生活、やり直すって」
「でも先生ならノリノリで協力してくれそうだけどなっ!」
 もう一人の少年…名前、何だっけ…が、ケラケラと笑う。彼は軽いノリのまま、オレに向き直った。
「そういやオレら、自己紹介してないよな。オレはリック・レークイン。ヴァンのクラスメイトだぜ」
「アデル・リテラティ。お前の言い方を借りるなら、ラルフ・ティアセルの元クラスメイトで、ヴァンの使い魔だ」
 リックの差し出した右手を、オレも右手で握り返す。
 リックはそこで、ニヤリと笑った。

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夜中。

 夢の中に、いるかと思った。
 ベッドだ。ふかふかのベッドの中にいる。
 頭も視界も、ぼんやりとしていた。
 さっきまで、すぐ近くに誰かがいた…ような、気がする。でも、思い出せない。
 何が聞こえていたんだっけ。
 ――祝福。精霊王。
 頭に浮かんだ単語に、オレはまさかねと苦笑した。精霊王と一般の人…や、魔物が関わる機会なんて、普通はない。ましてやその祝福を受けるなどと。
 鼻腔をくすぐるおかゆのかおり。上半身を起こすと、ベッドの横におかゆが置かれていた。
 今なら食べられると思った。だって、夢の中なんだから。
 おかゆは冷めてしまっていたけれど、しっかりと食べ物の味がした。
 食べているうちに視界はますますぼやけ、おかゆはだんだんとしょっぱくなってくる。
 自分が泣いているのだと自覚すると、余計に涙が止まらなくなった。
 胸がいっぱいで、おかゆは半分も食べられず。オレはベッドにもぐり込むと、枕に顔を押し当てた。

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間章・精霊王の祝福。

 死んだように眠る少年の傍に、人影が六つ。
「ごめんなさい…。また、貴方に苦しい思いをさせてしまった」
 光の精霊王が、謝った。
「我々はせめてもの償いとして貴方に精霊の末席の座を与えた。なれど、中途半端な精霊は、身体を維持するのがやっと…。物質から糧を得ることはできない」
 大地の精霊王が、呟く。
「せっかくやり直す機会を得たのだから…今一度、我等の祝福を」
 水の精霊王が、提案した。
「与えられる祝福には限りがある。物質から糧を得られるのは……」
 火の精霊王が憂慮する。
「少しずつで良い。祝福が集まれば、十分な力になる」
 風の精霊王が、謳った。
「新たな同胞を。混沌と無の精霊王を迎えよう」
 闇の精霊王が、宣言した。

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契約後7。

「無茶と言うか何と言うか…。ずっと幽閉されてたら身体がボロボロになってても仕方ないのに、みっともない姿を晒すのは拷問だって言って暴れただけですよ?」
「ずっと…?七年前からずっとか!?」
 まだ何かを言おうとしていたラルフは、オレの呟きに言葉を飲み込んだ。
「……七…年………?」
 道理で…ラルフが老けて見えた訳だ。
「…そんなに…経ってたのか……」
飲まず食わずで七年。死ぬ事もなければ、成長もしなかったオレ。
 ――猛烈に、吐き気と頭痛がした。
「アデル」
 一体本日何度目だろう。思考フリーズした頭に割り込んでくるのは、いつもヴァンの声。
「今は、考えるのを止めろ」
「………」
 オレは首を横に振った。オレだって考えたくない。考えたくないのに…。
「部屋に行って、何か軽く食べて、寝よう。で、明日考えれば良い」
 こんなに吐きそうなのに、何も食べられやしない。
「先生、良いですよね?」
「あ、ああ。すまん、俺が考えなしだったばかりに…」
「リック、行くぞ。鍵返せ」
「お、おう。…ってオレ、ついていって良いの?」
「手伝ってくれるならな」
 ヴァンはオレの手を引いた。途端に、周りの風景が切り替わる。多分、部屋に転移したのだろう。
「座って待ってろ」
 近くに出現したソファーに座らされる。けれど、周りを見る余裕なんてなくて…。
 目の前におかゆが差し出されても、オレは反応できずにいた。
 おかゆのかおりがするのに、それに食欲が刺激されなくて。
 ヴァンに言われて一口食べたけれど、味がしなくて、それ以上食べられなかった。食べ物を受け付けなくなった身体に、オレはまた自分が人間ではないと再確認した訳だ。
 もういっぱいいっぱいで、限界で。どのようにして眠ったのか、オレは全く覚えていなかった。

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契約後6。

「お前もお前だ!! あいつら助ける必要なんてなかっただろ…っ! 命懸けてまで、吸血鬼の足止めしなくったって良かっただろ……」
「えー…と…。それは悪かった…?」
 だけど、考える前に身体が動いてたんだから仕方ない。
「…あんた、吸血鬼の方に突き飛ばされたって言ってなかったか?」
 ヴァンがジト目で聞いてくる。確かに、ヴァンにはそう言ったような…。
「陣内にいたら確実に死ぬだろうから、引きずり出したら…突き飛ばされて、逃げられた? みたいな…。で、命懸けるも何も、襲われた時点でオレの死亡は確定してた訳で…何もしないで死ぬのは悔しいから、施錠してやっただけなんだが…」
 どうしてお前ら三人、そんな呆れた顔をしてるんだ?
「お人好しっぷりとやせ我慢ぶりは昔からだったんだな」
 ヴァンの言葉に、ラルフが反応する。
「こいつ、また何か無茶やったのか!?」

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