浴場から出ると、先生っぽい男の人と男子生徒っぽい人がいた。
「見張りサンキュー、リック。先生、わざわざすみません」
ヴァンの言葉が、オレの予想が間違ってなかった事を教えてくれる。
…しかし、屋外って、眩しいな…。眩しくて、まだ二人の顔まで把握できない。
「いや、気にするな」
先生、と呼ばれた人が口を開いた。彼の声には、何か懐かしい響きがある。
この声は…まさか……?
「……ラルフ…?」
「アデル…。生きてて良かった。…何か色々変わったみたいだけど」
やっと見えるようになった友達の顔は、すっかり大人になっていた。
オレは愕然とする。どうしてラルフは、こんなに老けた…?
「え、先生の知り合いっすか? ってか、アデルって…」
リックとか呼ばれてた生徒が、ラルフに聞いている。
「こいつは……アデルは、今だから堂々と言えるが、俺の大切な友達だ。召喚陣の描き順は、こいつに聞いたんだぜ。あの陣は…アデルの描きかけの陣をお偉いさんがパクったものだからな」
「描きかけの…って、じゃあ、あれは、禁忌の陣なんっすか!?」
「それは濡れ衣だ! こいつは…自分を虐めてたクラスメート庇って、そいつらが多人数で召喚した吸血鬼に噛まれただけで、禁忌の召喚をした訳じゃない。寧ろ身代わりにされた挙げ句の果てに、罪まで押し付けられた、一番の被害者だ!」
ラルフの剣幕に、可哀想な生徒はたじたじだ。ラルフのヤツ、すぐ熱くなるのは相変わらずなんだな。
「オレに言えた義理じゃねーけど…落ち着け? ラルフ。そいつ、びびってる」
ぽんぽんと肩を叩いてやると、ラルフは渋々黙り込んだ。と思いきや。
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