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召喚の儀。魔物side

 ――久方ぶりに、目が覚めた気がする。
 外の光の差し込まないこの牢獄では、時間の流れは意味をなさないが。
 何かが、ちりちりするのだ。肌が粟立つようなこの感覚は…何だ?
「……っ!!」
 不意に、痛み。オレは魔法を使っていないのに、オレを壁に縛り付けている枷が魔法を感知して、ギリギリと身体を締め付ける。
 また、あいつらがオレを嗤いに来たのだろうか?
 しかし、薄暗いこの空間にはオレ以外の気配はなく、聞こえるのは荒くなったオレ自身の息と鎖の軋む音ばかり。
「…う……、あ…っ」
 身体が震えて…いや、痙攣している。オレの中、奥深くから、オレの意思関係なく溢れ出そうとしている塊を抑えつけようとするかのように、枷が悲鳴を上げていた。
 オレ…ついに、暴走するのかな。そして、完全に魔物になるのだろうか。
「あ…、あぁ…っ!」
 ――無理だ、オレはそこに行けない。
 ……どうしてそんな事を思ったのだろう。
 始まった時同様全く唐突に荒れ狂うような発作は消え失せ、力の入らない身体は倒れようとして枷に阻まれる。
「はぁっ、は…ぁ……」
 息がなかなか落ち着かない。こんなにヤワな身体ではなかったのに…、すっかり、弱ってしまった。
 ふと空間に違和感を覚える。さっきまでオレ以外誰もいなかった筈のこの場所に…人の気配。
 あいつらじゃない、でも、あいつらの仲間かもしれない。万一あいつらの仲間じゃなかったとしても、風呂にもトイレにすら行かせてもらってないオレの姿は今、散々な状況だ。みっともなくて見せれたもんじゃない!
 来ないでくれ、見ないでくれ。それだけをただ切実に願う。
 だが祈りも虚しく、気配はこちらに近付き、そして…光を灯した。

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続・召喚の儀。

 少年の中で、むくむくと魔物に対する好奇心が頭をもたげた。
 最早、魔物から放たれる魔力など意に介する事なく、魔物に近付いていく。
「…こ……で、…れっ…」
 魔物の声は弱々しく掠れていて、少年まで届かない。少年は眉を顰め、魔物の言葉を聞き取る為にも足を早めた。
「悪いな、聞こえない」
 顔を背けようとした魔物の頬に手を添え、少年の方を向かせる。
「まぶ…し……っ」
 目を閉じてなお瞳を灼く光にぽろぽろと生理的な涙を流し、魔物は哀願するように呟いた。
「眩しい? …これで?」
 光源は少年の指先に灯された光一つ。だがそれですら、魔物には眩しいという。
 ――未だ光に目が慣れぬほど、闇の中にいた時間が長かったのか。
「……これで良いか?」
 少年が光量を大分落として尋ねると、魔物はびくりと肩を震わせ、薄く目を開けた。
「お前…は……、オレを…わら…い、に、来…たん、じゃ…ないの、か」
「は?」
 魔物の予想外な台詞に、少年は「何を言ってるんだコイツ」という顔をする。その反応を見て、魔物の方も呆気に取られたようだった。
 数瞬の沈黙。
「ちょ…ちょっと待て。誰があんたを笑いに来るんだ」
 少年の問に、魔物は余計な事を言ったと言わんばかりに不機嫌そうな表情を浮かべた。
「知らな……なら、…深入…り、する…前、に、……か…えれ」
「帰れるか。俺は使い魔の契約の最中に、此処に飛ばされたんだ」
「………は?」
 少年の言葉もまた、魔物にとっては予想外だったらしい。
 先程の少年と全く同じ間抜けな声を、魔物は発した。

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召喚の儀。

「……」
 少年が転移した先は、殆ど明りのない暗闇の中だった。
 正直言って、とても臭い場所だ。ありとあらゆる汚物が長期間放置されていたような、腐敗臭、据えた臭い。
 魔力を感じる。その魔力は、少年を拒絶しているようだった。魔法の形になっていないのに、確かな存在感を以て、少年の侵入を拒絶している。
 少年は意識を集中させ、魔力がどこから来るのか探ろうとした。
(…こっちか)
 振り向いて一歩踏み出した瞬間、それまで以上の密度で、魔力が吹きつけてくる。
 来るな、と、声無き意思を感じた。拒絶、絶望、怒り。そんな負の感情がこもった意思だ。
 だがその中に恐怖も含まれている事を、少年は感じとっていた。
 取り敢えず、目が慣れるまで待とうとも一瞬思ったが、面倒臭くなって指先に光を生じさせる。呪文など詠唱しなくても、無駄に魔力の多いこの少年には他愛もない芸当だった。
「……っ」
 息を呑む音は、どちらの物だっただろうか。
 少年の前に居たのは、手足や首を頑丈な鎖で繋がれた、長い長い銀色の髪を持つ、人間の形をした魔物。少年を仰天させたのは、その魔物が着ていた服だった。
「制服…?」
 そう。その魔物は、少年の学園の制服を着ていたのである。

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騒ぎ。

「……な…!」
 空を覆い尽くすような、深い深い闇。
 そんな闇を、具現化してもいないような状態で出すような奴を、一人で召喚できる奴なんかこのクラスにはいなかった筈だ!
 闇が渦を巻く中心には、腰を抜かしている3人の馬鹿ども。
 一瞬にして、血の気が引いた。
 あいつら、先生の言った事無視して、陣をいじった挙句に複数人で召喚しやがったのか…!
 しかも選りにも選って、先生が席を外した隙に!!
「お前等、早く逃げろっ!」
 クラスメートたちは、我先にとグラウンドから逃げ出す。
「誰か、先生を呼んで来い!」
 言いながら、阿呆どもの元へ駆けよる。見れば、いつもオレにちょっかいをかけてくる奴らだった。が、そんな事は関係なかった。
 オレは陣から3人を引きずり出す。何か文句が聞こえたような気がしたが、今はそれどころではない。
 闇を先に具現化させるのは、日光の苦手な吸血鬼か、下手をすると高位の魔族とか……。何が出てきても、落ちこぼれのオレは勿論、学生なんかでは太刀打ちできないような魔物ばかりだ。
 やがて姿を現した魔物に、オレは心の中で盛大に舌打ちをした。
「吸血鬼…」
 しかも、気の狂っている奴。その証拠に、目の赤い光が強い。
 不意に、押しのけられるように、突き倒された。
 あの3人が、オレを吸血鬼の方に突き飛ばし、一目散に逃げ出したのが、視界の隅に映った。
 絶望と怒りに心が染まる。だが、かといって、これを野放しにしておくわけにはいかない。せめて先生が来るまで、時間を稼がないと…。
 みっともない事に、オレは吸血鬼の発する気に中てられ、足に力が入らずに立ち上がる事すらできなかった。
 吸血鬼が辺りを見渡す。一番近くにいたオレと、目が合う。
「……っ!!!」
 一瞬にして肩を掴まれ、左首に灼熱の痛み。悲鳴を上げたくても、声も出せない。
 次いで、手足の先から何だか異様に寒くなってきた。頭がくらくらして、視界が暗くなってくる。
 ……血を、吸われている。
 何もできずに…このまま死ぬのかな…? オレが死んでも誰も困らないけど……、時間を稼ぐことすら、もしかしてできなかった…?
 それが悔しくて、ぎりぎりで意識を引き戻した。のろのろと吸血鬼の手を掴み、殆ど囁くように、使いなれた呪文を唱える。
「……『施錠』…」
 鍵の代わりに使うのは、オレのこの身体。オレが解錠の呪文を唱えるまで、オレの腕は、オレの首筋は、吸血鬼を離さないだろう。
 吸血鬼は、焦った、ようだった。吸血鬼の牙を離さない首から、酷い違和感。まるで蹂躙されるかのような……。
 口が、勝手に呪文を唱えようとする。そう、思い出した。吸血鬼は、眷族を作る事もできたんだっけ。
 だけどオレだって、やすやすと支配されてやるわけにはいかない。
 詠唱破棄するだけの魔力が、オレにはない。そして、これだけ血を吸われれば、死ぬのも時間の問題だろう。ならばいっそ。
 オレは最後の力を振り絞り、舌を噛み切ろうとした。だが、あまりに意識が朦朧としていたせいか、それからどうなったのか分からないまま、記憶が一度途絶えてしまった。

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騒ぎの直前。

「おーい、皆揃ったかぁ?」
 全くやる気の欠片も感じられない声で、先生が生徒の確認を行った。
「やる事は分かってるな? 召喚の陣を描いて、呪文を唱えるだけだ。教科書にある通り、な。お前等のうちの本とかのを使うのもありだが、それらを勝手にいじるんじゃねーぞ。んじゃ、やっといてくれ」
 言うだけ言って、椅子に座ると、どこからか取り出した本を読みだす。
「なぁ、一緒にやらねえ?」
 いつものように、オレ達は集まった。
「んー? 落ちこぼれ君は、召喚みたいな高等な魔法、使えるのかな~? 魔法陣をいじらずして、魔力が足りるとも思えないけど?」
 例によって何か言ってくる奴がいるが、聞こえないふりをする。
 分かっている、それくらい。他の誰でもない、自分の事くらい。

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性懲りもなく吸血鬼ネタ。

 ――それは少し、昔の出来事。
 魔力の少ない落ちこぼれ平民が通っていた魔法学園での、使い魔召喚の授業にて。
 鼻もちならない貴族の一派が、禁忌とされてきた多人数での召喚を行い、吸血鬼を呼び出してしまう。
 平民の少年は、クラスメートを庇って吸血鬼に噛まれてしまった。
 魔物と化した少年は、学園の地下深くに幽閉された……

 時は移り行く。
 学園でも世代交代が進んだ頃。
 一人の少年が、面倒そうに使い魔の召喚を行った。
 彼には有り余る魔力があった。彼の姿が消えたとき、先生たちは皆、彼が異世界に呼ばれて試練を受けているのだと思っていた。
 しかし、実際には。彼が居たのは、学園の地下。
 幽閉されている魔物の前に、少年は立っていた……

「まぶ…し……っ」
「え…? 制服?」

「俺と来い。もう一度、やりなおせば良いだろう」
「……そんな事、出来る訳ない」
「お前、俺を誰だと思っている」

「…そんなに…経ってたのか……」

「何だ? これ…」

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