夢の中に、いるかと思った。
ベッドだ。ふかふかのベッドの中にいる。
頭も視界も、ぼんやりとしていた。
さっきまで、すぐ近くに誰かがいた…ような、気がする。でも、思い出せない。
何が聞こえていたんだっけ。
――祝福。精霊王。
頭に浮かんだ単語に、オレはまさかねと苦笑した。精霊王と一般の人…や、魔物が関わる機会なんて、普通はない。ましてやその祝福を受けるなどと。
鼻腔をくすぐるおかゆのかおり。上半身を起こすと、ベッドの横におかゆが置かれていた。
今なら食べられると思った。だって、夢の中なんだから。
おかゆは冷めてしまっていたけれど、しっかりと食べ物の味がした。
食べているうちに視界はますますぼやけ、おかゆはだんだんとしょっぱくなってくる。
自分が泣いているのだと自覚すると、余計に涙が止まらなくなった。
胸がいっぱいで、おかゆは半分も食べられず。オレはベッドにもぐり込むと、枕に顔を押し当てた。
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