双明の妖精編よりかなり時間がたってから。
色素の薄く、瞳の赤いせいで忌み嫌われる、出自すら分からぬ子供がいた。当然名前など持たぬ。
そこは人が翼を生やし、空に住む世界。色素の殆どない肌では長時間上空に居れず、子供はこれまた忌み嫌われる森に暮らし、そこに住まう年老いた竜に育てられた。言葉をしゃべることこそ教えられなかったものの、人にあらざるものたちとの付き合い方はここで一通り習っている。
魔法の一般的なこの世界では、人は精霊と「契約」して魔法を使う。だが子供は「契約」できず、ますます出来損ないとして迫害を受けるのであった…。
そんなある日。
妖精が世界を訪れた。
実体を持つ、精霊以上の存在、妖精。
「契約」を願う人々をあっさり無視し、妖精は忌み嫌われる子供を一目見て言う。
「やっと…やっと見つけた!リュージュ!!」
妖精の名は、フェイといった…
二つの話の間、というか双明の妖精編ラストにて、略称SATANなる組織が結成されているのです。
できた当初は恐ろしくまともでお涙頂戴な組織だったのですが、長い年月の間に、すっかり道を踏み外しまして。
今では世界を荒らしまわるとんでもない組織と化しておりました。
リュージュの世界は、当時それに必死で抵抗していて、何としても妖精フェイの力が必要だったのです。けれどフェイのお気に入りは忌みっ子で、誰もそんな子と係わり合いになりたくない。
そんな中、色での差別がおかしいことを知っていた最年少の将軍、ラフィエスがリュージュを引き取ることを申し出ました。
喋ることを教えたり、最低限の武器の扱いを教えたりして、かなり目をかけていたみたいです。
ただ、リュージュはある日、SATANにつかまってしまいます…
リュージュはSATANで実験体としてかなり酷い扱いを受けることになります。具体的に書きたくもない…;
リュージュのトラウマは、この辺が原因であることが多いようです。
もともと白かった髪や翼が現在の色になったのも、他の瀕死の実験体から貴重な色素を移植されたからで、下手にけなすとリュージュの怒りを買うことに(笑)
SATANの最終(?)目標は、"神"を作って意のままに操ること。
結局リュージュは散々いじられた挙句の果てに龍の力を継いだり精霊と何やかんやしたり、一応SATANの目論見どおり"神"の一歩手前まできてしまいます。
それでもって、フェイはフェイで罠の可能性も知りつつリュージュを助けに特攻してくるし。
操られてフェイを捕らえようとする己に絶望して、リュージュはついに限界突破。"覚醒"してのっけから"暴走"。その後紆余曲折あって、自分を封印しちゃうのでした。
最初の頃は端末すら出さない有様だったんですが、フェイに半ば泣き落とされる感じで端末を作り出したり。
その端末の一つが、現在フェイと旅をしているあのリュージュにあたります。
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