いつの頃からか、そのオンラインゲームに、彼女はいた。
鍛冶だの調合だの調理だの、サブスキルを極める事を目標にしているかのような彼女が。
戦闘用スキルが低い訳ではない。
ただそれ以上に、サブスキルが目を引くだけだ。
彼女に加工を頼むのが、一番安くて確実だと、知っている人は知っていた。
彼女は何を頼まれても、材料費に最低貨幣単位分のお金を足した分しか請求しなかったから。
材料は持ち込み可能。
そして材料を集める為のクエストに彼女を連れて行けば、材料費よりも安く仕立てくれる事さえあった。
前述の通り、彼女の戦闘用スキルは決して低くはない。
彼女は多彩な魔法を使い、物理攻撃手段として弓も習得していた。
後衛として、十分に役立つ存在だった。
そんな彼女の元に……