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通りすがりAの話。

「え? 登録…ですか?」
 ギルドとやらの受付に、無理矢理引っ張ってこられて、登録を、などと言われてしまった。
 ただ、人のあまり来なさそうな森の奥で、年老いた竜の最期を看取っていただけなのだが。
 差し出された用紙を見る。
「『呼び名』…?」
「はい、本名を隠し、匿名で行動されたい方の為のサービスです! 本名を知られるのが嫌だからと言って登録されない方が、我々としても損失が大きいですので」
「へぇ……」
 そういえば、ここの世界の一般的な人名の形式を、まだ知らない。
 アシュレイ、アデル、アドリゲル、アズール、葵……。
 ざっと一通り考え、筆記具を手に取った。
「『通りすがりA』…ですか? あの、ずっとそう呼ばれる事になるんですよ? もっと格好良い名前とか、二つ名は書かれなくても良いのですか?」
「いえ、これで十分。実際に、単なる通りすがりなんですから。注目されても、鬱陶しいだけですので」
 二つ名など書いたら、今は別行動をしている旅の連れに、何と言ってからかわれる事か。
 というか、まずギルドに登録した事について質問攻めに合いそうだな、と、こっそり溜息を吐いた。

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日本語。

 日本は、表音文字も表意文字も使う、面白い国。
 だからかな、個人の名前も、面白い。
 だって、そうじゃない?
 響きの他に、使う漢字の意味も考えて名付ける事、あるでしょう?
 一つの響きに、色んな願いをこめる事だってあるでしょう?

 日本は、表音文字も表意文字も使う、面白い国。
 だからかな、文章も、面白い。
 だって、そうじゃない?
 語尾を変えたら、ニュアンスも変わるでしょう?
 口調の変化を、文章だけでも少しは伝えられるでしょう?

 ね?
 日本は、表音文字も表意文字も使う、面白い国。

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手の届く範囲。

 私の手が届く範囲は、とても狭い。
 狭すぎて、何もかもには手を伸ばせない。
 だからせめて、手の届く範囲には、愛を惜しまない。
 身内贔屓? それがどうした。
 私は万能じゃない。
 私は何もかもに愛情を注げるほどの余裕は無いんだ。

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源樹の森。

 その森がいつからあるのか、答えを知る者など殆どいない。
 それほど、その森が過ごしてきた刻は長い。
 長く、永く生きてきた森には、長く、永く生きてきた大樹が幾重にも聳え立つ。
 その幹から新たに樹が生え、茂るほどに成長した大樹は、されど未だ枯れぬもの多し。

 森に棲む民あり。
 大樹に寄り添うように、否、寧ろへばり付くように、住まいを建て、集落を築く。
 昼間でも薄暗く霞む森の中に浮かぶ、或いは朱く、或いは紅い、灯。
 地上を知らず、大空も知らぬ、幽玄の民。
 彼等の存在を知る者も、また今の世には少ない。

 そこは人の世であろうか。
 それとも、夢幻の世界であろうか。
 ただ刻だけが流れていく。
 踏み入らねば、森の奥は分からない。
 飛び出さねば、森の外は分からない。



 内尾和正さんの展覧会、晴零で購入した同名の画のポストカードより。衝動的に書いてみた。

・内尾和正さんのブログ
http://blog.ucchieys.com/

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迷子の街。

 一度迷い込んだら最後、決して出る事のできないと言われる街。
 その街角に、不思議な目をした、自称・流れの行商人。

 迷い込んだ旅人は、街を出る術を探して、さまよっていた。
 行商人は、あっさりと、旅人を案内してのけた。
 街中の施設は勿論、街の外にさえも。

 流れの行商人なら、何故、街の外に出られるのに、この街にいるのか。
 旅人の問い掛けに、行商人は答える。


 此処は、迷子の街ですからねぇ。
 本当は、行こうって思えればどこにだって行けるんですが……。
 なにぶん、心が迷子なんですぅ。
 目的地の場所、じゃなくて、そもそもの目的地、が分からなくて……。
 だから、今は此処にいるんですよ。
 この、迷子の街に。

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その「笑顔」の裏。

 我慢して、我慢して、諦めて、忘れた。

 怒る事を我慢して、諦めて、忘れた。
 喜びを顔に出す事を我慢して、諦めて。そのうちに喜びを忘れてしまった。
 泣く事を我慢して、諦めて、涙が出なくなった。
 そうやって、感情を忘れていった。
 望みを口に出す事を我慢して、諦めた。
 そのうちに望む事を、忘れた。


 そうして、薄っぺらい「笑顔」だけが、残った。

 でも。

 まだ、失った訳ではなかった。
 貴方達が、思い出させてくれた。

 ほんの少しずつだけど、いつかは……

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異世界トリップネタは尽きず。

(あれ、此処は……)
 気が付いたら、真っ白けな空間にいました。
「此処は空間の狭間」
 どこからともなく、声が聞こえます。
「おぬしはこれから、今まで暮らしていたのとは、別の世界に行く事となる」
 私は、ふうん、と声を漏らしました。
「記憶とは別に、おぬしの世界との繋がりを何か一つ、残してやろう。おぬしは何を望む? 一番多かったのは、元の世界に帰れる道、だったが、おぬしもそれを望むか?」
(元の世界に帰る、ねぇ……)
 私は少し考え、答えました。
「いいえ、それよりネットですね」
「ネットとな」
「私の元いた世界のネットを好きなように見れ、好きなように書き込みもできるなら、別に帰れなくても構いません」
 私は元の世界のリアには特に思い入れはありません。でも、ネットで知り合った友人達には未練があります。
 だから、元の世界のネットができるなら……別に帰れなくたって、良いような気がするのです。
「おぬしは面白い事を願う」
「変人な自覚はあります」
「だが、道よりも確実な繋がりだ」
(まぁ、道じゃ、どこにあるか分からないかもしれないし、本当に元の世界に繋がってるかも分からないしね)
 結構失礼な事を考え、私は苦笑いしました。
「良かろう、望みを聞いたのは我だ。今更ならぬとは言うまいよ」
 声がそう言って、そして……

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