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パラフュの今更ながらの裏話。

 『レラ』は禁断のアンドロイドシリーズだという事になっているけれど、実際はアンドロイドというよりは、脳まで機械化してしまった、元人間のサイボーグシリーズである。罪は、更に重い。
 作り出したのは、若き天才マッドサイエンティスト、フェイ・トワイライト。彼が何を求めて『レラ』シリーズの開発に着手したのかは、記録には残されていない。だが、彼が作り出そうとしていたのは、最終的には人工生命たるアンドロイドの方であって、サイボーグ研究はその過程であった。
 フェイが所属していたのは『デジーレ』と呼ばれる闇組織。サイボーグの素体としては、治安の悪化を良い事に、手段を問わずに集めていたようである。

 リュージュとリピカは、スラムに住むアルビノの兄妹だった。リピカの為にお金を求めたリュージュは、怪しげな実験の被験者として身売り。『レラ』シリーズの11番目の作品となる。
 だが、リピカもまた、『デジーレ』の魔の手にかかり、ネルガルの実験に使われてしまうのであった…。
 フェイとネルガルは、共にそれぞれ『誰か』の面影を求め、多くの研究を共同で行っていたようである。

 やがてフェイの台頭を快く思わない者により、フェイの研究所は一夜にして廃墟となる。『デジーレ』は、確かにフェイの死体を確認した。だが彼等は、肝心な所で、詰めが甘かった…。
 フェイは、自身すらも『レラ』の作品に仕立てあげてしまったのである。時間のない中での改造がたたり、彼は非常に不安定な作品となった。行動制御プログラムにバグをきたしやすく、時に『狂った』ような行動をとってしまう。それはしばしば、テロという形で外部にも悪影響を及ぼすものであった。

 ラズルーン・アドリゲルは、アシュレイの双子の、年下の方である。性別は、遺伝的欠陥により、ない。
 アシュレイはさまざまな手術を受け、男性となったが、ラズルーンはその予備として何の手も加えられずに育てられた。
 ラズルーンの存在は戸籍に乗ることすらもなく、ただアシュレイの影武者として振る舞えるようにしつけられる日々。だが、アシュレイが完全に安定化したことにより、ラズルーンは不要のものとなった。不要となった人形は…当然のように……廃棄される。

 廃棄されたラズルーンを拾ったのはリュージュである。というのも、ラズルーンが捨てられたのが、廃墟と化した、フェイの研究所だったからだ。
 誰も寄り付かなくなったはずの廃墟に迷い込んだ子供を、ペットか何かのように、『レラ』二人は可愛がった。

 アドリゲル家に仕える集団の一派が、ラズルーンの存在を野放しにした事を非難する。廃棄処分として放逐するのは生ぬるい。存在すら、消し飛ばさなければ、後に禍根となるであろうと。
 結果、ラズルーン一人を跡形もなく抹殺するためのテロが行われた。ラズルーンも当然、そこで消え去る筈だったが……。
 彼等にとって計算外だったのは、『レラ』の存在だろう。間一髪気付いたリュージュがラズルーンを連れて逃げるものの、生身の人間であるラズルーンは、命に係わる重傷を負う。
 『レラ』の研究所で生死の淵をさまようラズルーン。リュージュはフェイに、その命乞いをした。
 フェイはそれを了承する。いざという時に、自分の暴走を止める存在として、ラズルーンを『作って』も良いならと。
 かくして、フェイの死後に、最後の『レラ』が作られた。

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